2018年12月27日(木)
高住協会長のつぶやき(2019年1月号)・・・「そだねー」の流行語大賞に思う
毎年末にマスコミを賑わす流行語大賞に、オリンピック平昌大会で銅メダルを獲得したカーリング女子チーム「ロコソラーレ(LS北見)」が試合で発した「そだねー」が選ばれました。今までの流行語大賞をみると「インスタ映え(2017)」、「忖度(2017)」、「神ってる(2016)」、「爆買い(2015)」、「トリプルスリー(2015)」、「ダメよーダメダメ(2014)」、「集団的自衛権(2014)」、「じぇじぇじぇ(2013)」、「今でしょ!(2013)」、「倍返し(2013)」、「お・も・て・な・し(2013)」など、今となっては懐かしいとも思えるその時々の言葉が並びますが、今回ほど良い大賞だったなあと思ったことはありません。それは、北海道弁まるだしの地元発信の言葉であったこともあるでしょうが、なによりも「そだねー」という言葉が表現している共感の力が胸に響くからです。
今までの流行語大賞は、新しい表現が現代世相に受けるという感じで選ばれていましたが、「そだねー」は新しい言葉でもなんでもなくて「そうだね」の北海道弁であるだけのことです。「そうだね」という言葉は、相手の思いを共感する意味合いが強く、それを聞くと自分が言ったことを認めてもらっているのだという安心感がすごく広がります。
そして、「そだねー」の語感や響きが共感の度合いをさらに強めているように感じるのは、自分が北海道育ちだからということだけではないように思えます。さらに、オリンピックで聞いた「そだねー」はチームの皆が声をそろえて言っているので、自分が皆から認められているという感じがとてもよく伝わってくるのでしょう。
この頃の日本は、不寛容な空気が蔓延しているように思えます。ちょっとでも変わったこと(個性的なこと)をすると叩かれるという風潮がSNS(ソーシャルネットワークサービス)などで顕著です。ジャーナリストの安田さんが解放されたときに世間から発せられた「自己責任」という言葉は、その象徴的なものではないでしょうか。
そんな風潮に、「そだねー」と言って、「あなたの存在は認めるよ」というメッセージはとても勇気づけられます。ちなみに、ロコソラーレの創設者である本橋麻里さんは大賞受賞に際し「他の意見を認めてから意見を言うスタイルを褒められた(北海道新聞)」と語っていますが、とても含蓄のある言葉だと思います。お互いがお互いの考え、個性を認め合い、高め合っていくという姿勢は、高住協の活動にも大いに反映していきたいものです。
「みんなちがって、みんないい(金子みすず)」。