2013年度介護支援専門員受験対策(4) 7月16日
今回は介護保険制度の目的等です。基本テキストでは44p~52pです。
【社会保障、社会保険、介護保険の体系】
・社会保障は、社会保険・公的扶助・社会福祉に分類されます。
〇社会保険は、5つあり、介護保険がもっとも新しい社会保険です。①介護保険、②医療保険、③年金保険、④労働者災害補償保険(労災保険)、⑤雇用保険の5種類。
〇社会保険は、基本的に強制加入です。「逆選択(健康なものが加入せず危険率の高い者のみが加入すること)」の防止です。
〇公的扶助とは、主に生活保護を指します。
〇社会福祉は、児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉、社会手当(児童手当等)等様々な分野毎の福祉制度があります。
・社会保障の体系
〇財源では、①社会保険方式と②社会扶助(公費)方式があり、介護保険は、一応社会保険方式に分類されますが、保険料と公費の負担割合が半々となっています。
〇支給形態は、現物給付方式(サービスまたは物品のかたちによる給付)と、金銭給付(現金給付)方式があります。介護保険は基本的に現物給付方式です。年金・雇用・生活保護・社会手当等は金銭給付方式です。医療保険は、現物給付ですが一部件線給付もあります。労災保険は金銭給付方式ですが一部現物給付もあります。
〇社会保険の区分としては、職域保険と地域保険、短期保険と長期保険などに分けることができます。介護保険は、市町村が保険者なので「地域保険」、当該年度の費用をその年度の保険料収入で賄い、保険給付の支給要件や支給額も加入期間と無関係ですから、「短期保険」です。
〇医療保険は、①職域保険(a.被用者保険(健康保険・共済組合等)、b.自営業者保険(国民健康保険)、②地域保険(市町村国民健康保険・後期高齢者医療制度)に別れます。
また、それとは別に「公費負担医療制度(障害者総合支援法・感染症患者の公費負担制度・生活保護法(医療扶助)等)」があります。
〇老人医療は、08(H20)年度から後期高齢者医療制度(75歳以上の方が被保険者で、保険者は都道府県単位の「後期高齢者医療広域連合」)がスタートしました。これに伴いこれまでの老人保健制度は廃止されました。
この分野の過去問問題です。
12年度問題4 社会保険について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 介護保険は、職域保険に位置づけられる。
2 厚生年金保険は、被用者保険に位置づけられる。
3 労働者災害補償保険は、社会保険ではない。
4 医療保険は、業務外の事由による疾病、傷病等を保険事故とする。
5 医療保険の被用者保険の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合のみである。
10年度問題3 日本の社会保険制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 介護保険制度の被保険者には、自営業者が含まれる。
2 介護保険制度は、被保険者の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行う。
3 健康保険法では、業務外の事由による疾病、傷病等を保険事故とする。
4 労働者災害補償保険制度は、医療の現物給付も行う。
5 労働者災害補償保険制度には、年金給付はない。
解答(12年度問題4:2・4、10年度問題3:1・3・4)
さて、介護保険制度の目的ですが、法第1条に明確に規定されております。
【第1条の要約】 加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、介護・機能訓練・看護・医療が必要となった人等について、その尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービスおよび福祉サービスにかかる給付を行うため、国民の共同連帯に基づいた制度を設け、国民の保健医療の向上および福祉の増進を図ること。
〇保険給付の基本的理念は、第2条第2項~第4項を参照します。
1)要介護状態・要支援状態の軽減・悪化防止・予防の重視。
2)医療との連携への十分な配慮。
3)被保険者の選択に基づく適切なサービスの総合的・効率的な提供。
→ケアマネジメントの仕組みの導入。
4)多様な事業者・施設によるサービスの提供→民間活力の活用。
5)居宅(在宅)における自立した日常生活の重視→可能な限り在宅での生活を追求。
〇国民の努力および義務が、第4条に規定されております。
1)介護予防のため健康の保持増進に努めること。
2)要介護状態となった場合でもリハビリ等によりその有する能力の向上に努めること。
3)保険料等の費用の公平な負担をすること。